大阪ぽっぽ会 会員・ Grampsの山行

岩登り、縦走を中心に春夏秋冬楽しんでいます。

谷川岳・一の倉沢

衝立岩正面壁 雲稜第一ルート

期間:1998.9.12~9.14 
     
先月始めて谷川岳を訪問し、今回が2回目の山行である。
前回参加したO橋さんは今回はこの近くの尾瀬ヶ原のハイキングに出かけて来ている。

この雲稜ルートは衝立岩正面壁で最初に開拓されたルートとのことで
「日本のクラシックルート」にも谷川のページで最初に紹介されている。

ルートグレードは5級下。

先月の26、27両日の集中豪雨で水上~越後湯沢間は土合駅付近の土砂崩れのため
現在も下り線を使っての1日3往復のみの単線運転である。

登山指導センターに確認したところ壁は別状ないとのことで予定通り山行することにする。
水上駅より谷川岳ロープウェー口までは東京在住の女王さんの助言でバスを利用。

途中、流れ出た土石、倒木を目のあたりにすると大丈夫だろうかと不安がよぎる。

先月我われがテン場にしていた所(川の端)は大きくえぐり取られそのスペースは全くなし。
そこには「危険」と印したトラロープが張りめぐらされてあった。

仕方なく対岸にキャンプサイトを求める。
前回お世話になった東京立川山岳会の方々も幕営されていた。

彼らは幽の沢に行かれるとか。

9月13日(日)晴れ
起床3時、出発4時半。ヘッドランプをつけてテールリッジに向かう。
河原は流されてきた岩石、倒木で前回とは一変していた。

しかし上流に向かうに従い取り立てて変わった様子は見られない。
むしろ2~3日天気が続いたためかテールリッジの岩はフリクションがよく効き非常に歩きやすい。

さて今回私が思っている最大の核心部は(?)は取り付き点探しである。
写真を見たりルート図をみてここだと見当をつけた辺りの衝立スラブを右にトラバース。

取り付き点であるアンザイレンテラスへのブッシュの入り口が分からず
後続のパーティーに問うと「もっと上部をトラバースだよ」と。

そこで更に上部へ、そして右にトラバースしてみるもそれ以上行けず、
恐るおそる左にトラバースしてテールリッジに戻ってみると、

件の2人パーティーが先ほど我われがトラバースしたところを進んでいる。
「ごめん、ごめんここでよかったみたいやわ(これを東京弁で)」と。

アンザイレンテラスまでのトラバースルートは
わずかに残っている踏み跡を辿ってブッシュで行き止まりのところを強引に突き進めば到着できた。

先に到着した2人パーティーは1人がサーティーン(13)クライマーで
もう1人はテン(10)クライマーとか言っておりました。

今日は13クライマーがこのルートの2ピッチ目の5.11d(グリズリー)を
フリーで登るためにやってきたそうだ。

何故か我われに先を譲ってくれた。

1P目:Gramps:「サーティーンクライマーに見られていると思うとプレシャーがありますよ」と言いながら、

「Ⅳ級A0」を登りはじめる。
下から「草つきとピッチの終了点がいやらしいので気をつけてください」とアドバイスを貰う。

A0地点も何とかフリーで抜けれた。
フォローのNanohaBabさんも重荷なのに難なく登って来た。

出口のところでまたまた下から
「無理せずにA0、A0。先が長いから」とアドバイス貰う。

この2人は熊谷市のクライマーでここまで2時間で来られるとか。全くゲレンデ感覚である。

2P目:Gramps:2人テラス(4人は十分集合できる)から
フリーで6~7m登って第一ハングをあぶみでトラバースしながらハングの抜け口に向かう。

ピンはリングがなかったり、ぼろぼろの3ミリシュリンゲが掛かっていたり、
ハーケンが腐っていたりしているため一つ一つチェックをして移動しなければならず神経が疲れる。

核心部のハングは垂れたテープ(脱色していて乗ったら切れそう)を使えばそんなに難しくはないだろう。
使わなければA2のハングでしょう。

所々にペツルのボルトがあるが、
登りながら下のパーティーは「こんなところをフリーで登るのかよう、落ちたらボルトは止めてくれないぞ」と思いつつ通過する。

ハングを越した凹角の最下部のテラスで確保。
続いてBabさんが着実に登ってくる。

ハングのところで下から「ガンバ、ガンバ」の声援を受けクリアー。

3P目:Gramps:凹角を7~8m直上してフェースを右上(あぶみの掛け替え)。
やはりピンはぼろい。3mmシュリンゲを付けたりして進む。

2ヶ所ほどピンが遠く、Ⅴ級程度のフリーをまじえて第2ハング下へ。
ハングを右上気味に登っていき、ハングからハングをトラバースする形のところが遠いので、

少々思い切りが必要。乗っ越したところでピッチ終了。
面倒くさかったのであぶみを使用せずにメインロープとヌンチャクでぶら下がってビレーしたため疲れてしまった。

セカンドのBabさん「疲れた、疲れた。遅くなってごめんなさい」と言いつつ登ってきたが、
そんなに時間は掛かっていない。

このテラスからの眺めは抜群である。
まさに「絶景かな、絶景かな」である。

突き出した岩から真下を見れば、
はるか下150~200mは毎年の雪崩によって真っ白く磨かれた烏帽子スラブ、衝立スラブ。

その上方には谷川岳の峰々。
至福の一瞬である。

4P目:NanohaBab:疲れた、つかれたと言っているBabさん、ここからはリード。

フリーで2m程登って外傾したところでアブミを使おうとしたが身長の関係で届かない。
左にまわり込んで乗っ越し気味にアブミを引っ掛けてクリアー。

そこよりまたフリーで左上気味にトラバース。

フォローのGrampsはここで思い切りよくトラバースしようと左手に持ったホールドに力を入れたら、
なんと80cmx80cm位の大きさの岩がグラッときた。

慌てて右手で押さえつける。
立川山岳会の人からも下にいるパーティーからも

「岩が荒れているから、トラバースは気をつけて下さいよ」と言われていたのはまさにこのことである。
セカンドの気安さでこの忠告を忘れていた。

続いて凹角っぽいところを直上。
ここでもまた30cm角位の岩がグラッときた。

今はフリーを諦めて取り付き点でのんびり休憩している2人に
「落石がありそうだから移動して下さい!」とコールしてビレー点まで登る。

5P目:Gramps:このピッチもBabさんがリードすることになっていたが交替する作業が面倒くさいのでそのまま「ツルベ方式」で行くことにする。

凹角を直上し、チムニーを直上して第3ハングへ。
このピッチは過去にどこかで登った所によく似ているが思い出せない。

乗っ越しは錫杖岳北沢フェースのハング乗っ越しによく似ているなあと思いつつ越える。
越えたところはこのルート初めて腰をおろして休憩できるテラスである。

疲れたのでここで大休止。

6P目:Bab:凹角状のところをどんどん直上して行く。トポではこのピッチは40mとなっているが、50mザイルいっぱいになりかけて、やっとビレー解除のコール。

45mザイルでは足らないかもしれない。

7P目:Gramps:ここからはA2の洞穴ハング越え。
この洞穴は2人がゆったりとビバーグできそうなところだ。

洞穴を左から巻くようにハング越えをして登って行く。
なぜかやたらとピンがあり気味が悪い(冬に打ったのかな?)

最後のオーバーハングはピンの信用性からしてできるだけ多くのランニングビレーを取り乗っ越す。
ここも腰掛けてビレーができる。

Babさん「こんなところで下を見たらビビリますよね」と言いながらハングを乗っ越してきた。
ホンマに高度感のあるすごいところだ。

8P目:Bab:ブッシュ混じりのところを50m一杯伸ばす。ロープがあっちこっちに擦れて重そう。

9P目:Gramps:
続いてブッシュ混じりを20m程登って終了点らしきところに到着。
ここは錫杖岳の各ルートの終了点から少し進んだところに酷似している。

今日のクライミングの終了である。
これから中央稜の懸垂が待っている。

先月降りているので気持の上では余裕があるも
この中央稜はピッチの切り方でロープが引っかかってしまうので厄介である。

少し休憩して懸垂にかかる。
何ピッチか懸垂したところで、ロープが引っかかってしまった。

ユマーリングで登り返してみたところ、いつか穂高の屏風岩で引っかかった時と同じ現象が起きていた。
ロープの結び目が岩角を乗っ越すことができないため回収不能になっている。

それから数ピッチ下降を続け中央稜取り付きに着地。
これからまだテールリッジの下りがある。

明るいうちにテールリッジを降りてしまいたいので休憩なしの下降を続ける。
ヒョングリの滝の高巻き辺からヘッドランプを点けての登下降となる。

先月きたときには無かった赤ペンキの○印しが今回はやたらとあり、
こんなにつけなくともいいのにと思っていたが、

闇の中で河原伝いから林の中に入る地点を探すのに
ヘッドランプの光に照らし出される○印しを発見できるとホッとする。
有り難かった。

立川山岳会の人たちにご苦労様と慰労されテン場に到着。18時半。

水炊きと河原で冷やしたビールで乾杯!
今回は私が好物のうどんを買い忘れたため食べられず残念、無念、不覚であった!

今回の山行は疲れたが、
それ以上に充実した山行に満足、満足でした。

起床(3:00)出発(4:30)登攀開始(7:05)登攀終了(14:30)テン場着(18)30)

「雲稜第一ルート」のルート図は:「日本の岩場」、「日本のクラシックルート」「岩と雪」の中で「岩と雪」が一番正確に記されていたようです。

帰宅後、
10年前に読んだ小森康行氏の「垂直の上と下」に載っている
「雲稜ルートの遭難者搬出のための自衛隊によるザイル切断」の章を再読する。

その当時は通りいっぺんに読んでしまったが、
今回は搬出のための状況が全くリアルに再現され、

山行前に読んでいたらどんな気持でそこを登っていたことでしょうか?・・・


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