唐沢岳幕岩 畠山ルート
大阪ぽっぽ会
期間:1997.9.19夜~9.22
参加者:NanohaBab、Kotetu、O橋、Gramps
このルートは数年前ぽっぽ会で一度登ったことがあるが、
時間の都合で4ピッチまでしか登っておらず、今回は完登を目指してのチャレンジでした。
今回の目標:
1:壁でのビバーク体験。
2:軽量化(18kg/人でも山行できるという体験)。
3:Kotetu君の全ピッチリード。
4:NanohaBabさんの全ピッチつるべによるルートファインディング能力向上。
5:O橋さんのⅤ級ルート体験。
6:冬壁への偵察。
9月19日、20日:
Kuriさんの見送りで、大阪駅21時03分のちくまにて出発。
丸山東壁組も乗り合わせていた。
連休前夜のためか、車内は通路まで一杯の状態である。
今回はなぜか余り眠れなかった。
明日の岩壁ビバークと合わせて2ビバーグを体験しているようなもんだと
案外気持は楽である。
大町よりタクシーにて七倉に、
阪より車で来たKs畑・Tr居・Nk井さんたちは、4時頃到着して仮眠している。
6時30分、ゲートが開き、タクシーにて高瀬ダムへ。
快晴の下ここから大町の宿(幕岩の取り付き近くにある岩小舎)に向かう。
足の速いKotetu君に先に行ってもらいテン場の確保をお願いする。
今回金時の滝は、右岸のルンゼを登るのをやめて、
左岸を高巻くことにしたのだが、とんでもない所(通常の高巻きではないところ)を高巻いてしまい、
30~40分のロスタイム。
後から出発してきたTr・Ks・Nkパーティー(ルンゼを登った)より遅れてしまった。
大町の宿ではKotetu 君が心配顔で待っていてくれた。
不要品をデポして、早速畠山ルートに向かう。(Tr・Ks・NkPは大凹角ルートへ)
畠山ルートパーティー編成:
NanohaBab・Gramps、O橋・Kotetu
緩いルンゼ状(Ⅲ級)を30m程登り取り付き点へ。
1P目:Gramps:昨年同時期も濡れていたが、
今回も濡れており嫌らしい。
フリーにA1を交じえて40m位でテラスに。
2P目:Gramp:ハング気味のところをアブミで乗っ越し
(所々剥がれそうな感じのするハングである)。
その後はボルトラダーに導かれてやや右上し、
再びハングを乗っ越したところでアブミビレー。
フォローのBabさん、次のパーティーのKotetu君も快調に登って来ている。
3P目:Gramps:Ⅴ級の凹状。ビショビショに濡れている。
精神的に良くないが、登り出してみると案外楽に登れた。
凹状を出てすべり台テラスまでの方がホールドがなく、かえっていやらしかった。
Babさんも順調に登って来ているようで、次のピッチ、リードを代わってもらう。
4P:Bab:草付きを10m程登りジェードルへ。
このジェードル、ピンが殆どない。
フレンズ2個使ってランニングビレーを取り(冬はダブルアックスのピッチか楽しみ)クリアー。
20m位登って左のフェースに移行し、
まさに3寸テラスそのものである。
5P:Gramps:3m程左にトラバースして草つきのリッジを直上。
冬ならバリバリに凍っていてピッケル、バイルのピックも良く効き、楽々登れそうな所である。
が今はどの草を掴んでもどの枝を掴んでも、不安定そのもの。
おっかなびっくりで騙し、だまし登る。
その後のブッシュ帯(10m)を通過してフェースに出る。
ここから2m程右にトラバースしてビレー。
6P:Bab:Ⅲ級ほどのスラブであるが、
ピンが殆どなく、精神的に良くない。
ビレー点を探すのに右へ、左へ。
30~40mで大広間テラスに到着。
7P:Gramps:一段上がって右に移ってから左に廻り込む。
クラックを直上(ナッツを1個、フレンズを2個使用)して枯れ木テラスに。
6P目からガスが掛かり始める。
大凹角ルートを登ったNk井さんが、下降の為の懸垂下降をはじめているのが見える。
お互いにコールしあう。
テラスに着いた頃には、ガスって何も見えなくなる。
次のパーティーのO橋さんが登って来る間に、
Kotetu、Bab、Grampsで明日は雨かもしれないので、
懸垂で撤退をすることを決める。
それでもO橋さんの意見を聞いてみようとなり、
O橋さん到着と同時に「降りますか?」聞いたら、
即座に「ビバーグじゃないんですか?」とぴしゃりと言われてしまった。
そうだ課題のひとつに「岩壁ビバーグの体験」があった。
明日雨なら懸垂で降りることにして、とにかくビバーグに決定。
Kotetu曰く「女性の一言は強い。
一昨年のヨーロッパの時も天候云々でマッターホルンを登ろうか、
あきらめようかといって議論していた時にHaちゃん(女)の一言『登ります』で決定したよね」
ビバーグ地点はかなりの傾斜地。
ザイルを張ってツェルトを2張り、中にもぐって安全ベルトとザイルを結んでの休息
傾斜がきついため、眠ったら滑ってすぐに宙吊り状態になり30分毎に目覚めてしまう。
「一晩に何回も、なんかいも眠れて良いなあ」
と自分自身に言いかかせて夜を楽しむ。
朝がた外で眠っていたKotetuが、
寒い、寒いと言ってツェルトの中に入ってきた。
月が岩壁を照らし美しい。
「この天気なら、今日も引き続き登れるぞ」ビバーグしてよかった。
O橋さんに感謝。
記録:取り付き10:52~最終パーティー終了16:30
9月21日:
8P:Gramps:2m上の潅木テラスへ(ここは平地で2人は十分ビバーグ可)。
左上か、右上か迷ったが右側を登ってみることにする。
トポは「ジェードルを登り小ハングを越える」とあるが、小ハングが分からない。
頭上に大きな木の根っこがあり、懸垂用シュリングが付いている。
とにかくそれに向かって登ってみる。
気の根っこを乗っ越すとき、そうか「これが小ハングのことか」と理解したが、
果たして正解か?ここから3mほど登って木でビレー。
9P:Bab:右から廻りこんでジェードルへ。
人工で7mほど登って左のカンテに。
カンテの溝状の所をバランスを取りながら7mのぼりビレー。
10P:Gramps:カンテ溝状から左に廻りこみながらフェースに出る。
フェースを3m登って、再びカンテに出て3mでビレー点に。
ここでザックの天蓋を開けて行動食を取り出し食べ始める。
突然の突風でザックが半回転。その弾みで行動食が袋ごと落(らく!)。
幸いにも2m下の木の枝に引っかかり止った。
セカンドのBabさんに廻りこんでもらい回収してもらう。助かりました。
11P:Bab:三角形のハングの左を直上し、
ブッシュの中を右へ。
大岩を右から廻って直上するも、
ザイルの流れが悪く2m降りてビレー。
12P:Gra:大岩を3m登り、右に廻りこみ2m直上。
凹角に出くわしたが、
右側の不安定な草付きのリッジをやや左上気味に登る。
潅木でビレー。
13P:Bab:そのまま樹林帯の緩傾斜を進んで行くと、
大きな露岩に突き当たり、
回り込んでどこか登れそうな所を探すも、ザイルが重くなってしまい一旦ここでビレー。
実はここがこのルートの終了点であった。
記録:8P目6:30~終了10:37
Kotetu 、O橋パーティーを待って、
下降点の大凹角の頭に向かう。
頭で大休止をして、懸垂6回で左稜のコルに到着。
大町の宿には12:00着。
明日は残念ながら天気は悪くなりそうだ。
16:00頃、I東(ぽっぽ)・S畠(OWCC)が大凹角を終了してご帰還。
彼等は我われと違って重量化に徹しているようだ。
一杯の食糧とアルコールの量。
今晩は我われ2パーティー6人のみのため、他を気にせずに大いに宴会を楽しむ。
それにしても岩壁ビバーグの後の、
平地で寝ることはなんと素晴らしいことか!全員熟睡。
9月22日:
雨模様の為、下山に決定。
帰路は恒例になっている高瀬館の露天風呂で泳いだあと、ビールで乾杯。
車中の人となる。
今回は22日にもう1本登る予定であったが、
天候悪く断念。しかし畠山ルートを完登でき満足でした。
以上。
大阪ぽっぽ会
期間:1997.9.19夜~9.22
参加者:NanohaBab、Kotetu、O橋、Gramps
このルートは数年前ぽっぽ会で一度登ったことがあるが、
時間の都合で4ピッチまでしか登っておらず、今回は完登を目指してのチャレンジでした。
今回の目標:
1:壁でのビバーク体験。
2:軽量化(18kg/人でも山行できるという体験)。
3:Kotetu君の全ピッチリード。
4:NanohaBabさんの全ピッチつるべによるルートファインディング能力向上。
5:O橋さんのⅤ級ルート体験。
6:冬壁への偵察。
9月19日、20日:
Kuriさんの見送りで、大阪駅21時03分のちくまにて出発。
丸山東壁組も乗り合わせていた。
連休前夜のためか、車内は通路まで一杯の状態である。
今回はなぜか余り眠れなかった。
明日の岩壁ビバークと合わせて2ビバーグを体験しているようなもんだと
案外気持は楽である。
大町よりタクシーにて七倉に、
阪より車で来たKs畑・Tr居・Nk井さんたちは、4時頃到着して仮眠している。
6時30分、ゲートが開き、タクシーにて高瀬ダムへ。
快晴の下ここから大町の宿(幕岩の取り付き近くにある岩小舎)に向かう。
足の速いKotetu君に先に行ってもらいテン場の確保をお願いする。
今回金時の滝は、右岸のルンゼを登るのをやめて、
左岸を高巻くことにしたのだが、とんでもない所(通常の高巻きではないところ)を高巻いてしまい、
30~40分のロスタイム。
後から出発してきたTr・Ks・Nkパーティー(ルンゼを登った)より遅れてしまった。
大町の宿ではKotetu 君が心配顔で待っていてくれた。
不要品をデポして、早速畠山ルートに向かう。(Tr・Ks・NkPは大凹角ルートへ)
畠山ルートパーティー編成:
NanohaBab・Gramps、O橋・Kotetu
緩いルンゼ状(Ⅲ級)を30m程登り取り付き点へ。
1P目:Gramps:昨年同時期も濡れていたが、
今回も濡れており嫌らしい。
フリーにA1を交じえて40m位でテラスに。
2P目:Gramp:ハング気味のところをアブミで乗っ越し
(所々剥がれそうな感じのするハングである)。
その後はボルトラダーに導かれてやや右上し、
再びハングを乗っ越したところでアブミビレー。
フォローのBabさん、次のパーティーのKotetu君も快調に登って来ている。
3P目:Gramps:Ⅴ級の凹状。ビショビショに濡れている。
精神的に良くないが、登り出してみると案外楽に登れた。
凹状を出てすべり台テラスまでの方がホールドがなく、かえっていやらしかった。
Babさんも順調に登って来ているようで、次のピッチ、リードを代わってもらう。
4P:Bab:草付きを10m程登りジェードルへ。
このジェードル、ピンが殆どない。
フレンズ2個使ってランニングビレーを取り(冬はダブルアックスのピッチか楽しみ)クリアー。
20m位登って左のフェースに移行し、
まさに3寸テラスそのものである。
5P:Gramps:3m程左にトラバースして草つきのリッジを直上。
冬ならバリバリに凍っていてピッケル、バイルのピックも良く効き、楽々登れそうな所である。
が今はどの草を掴んでもどの枝を掴んでも、不安定そのもの。
おっかなびっくりで騙し、だまし登る。
その後のブッシュ帯(10m)を通過してフェースに出る。
ここから2m程右にトラバースしてビレー。
6P:Bab:Ⅲ級ほどのスラブであるが、
ピンが殆どなく、精神的に良くない。
ビレー点を探すのに右へ、左へ。
30~40mで大広間テラスに到着。
7P:Gramps:一段上がって右に移ってから左に廻り込む。
クラックを直上(ナッツを1個、フレンズを2個使用)して枯れ木テラスに。
6P目からガスが掛かり始める。
大凹角ルートを登ったNk井さんが、下降の為の懸垂下降をはじめているのが見える。
お互いにコールしあう。
テラスに着いた頃には、ガスって何も見えなくなる。
次のパーティーのO橋さんが登って来る間に、
Kotetu、Bab、Grampsで明日は雨かもしれないので、
懸垂で撤退をすることを決める。
それでもO橋さんの意見を聞いてみようとなり、
O橋さん到着と同時に「降りますか?」聞いたら、
即座に「ビバーグじゃないんですか?」とぴしゃりと言われてしまった。
そうだ課題のひとつに「岩壁ビバーグの体験」があった。
明日雨なら懸垂で降りることにして、とにかくビバーグに決定。
Kotetu曰く「女性の一言は強い。
一昨年のヨーロッパの時も天候云々でマッターホルンを登ろうか、
あきらめようかといって議論していた時にHaちゃん(女)の一言『登ります』で決定したよね」
ビバーグ地点はかなりの傾斜地。
ザイルを張ってツェルトを2張り、中にもぐって安全ベルトとザイルを結んでの休息
傾斜がきついため、眠ったら滑ってすぐに宙吊り状態になり30分毎に目覚めてしまう。
「一晩に何回も、なんかいも眠れて良いなあ」
と自分自身に言いかかせて夜を楽しむ。
朝がた外で眠っていたKotetuが、
寒い、寒いと言ってツェルトの中に入ってきた。
月が岩壁を照らし美しい。
「この天気なら、今日も引き続き登れるぞ」ビバーグしてよかった。
O橋さんに感謝。
記録:取り付き10:52~最終パーティー終了16:30
9月21日:
8P:Gramps:2m上の潅木テラスへ(ここは平地で2人は十分ビバーグ可)。
左上か、右上か迷ったが右側を登ってみることにする。
トポは「ジェードルを登り小ハングを越える」とあるが、小ハングが分からない。
頭上に大きな木の根っこがあり、懸垂用シュリングが付いている。
とにかくそれに向かって登ってみる。
気の根っこを乗っ越すとき、そうか「これが小ハングのことか」と理解したが、
果たして正解か?ここから3mほど登って木でビレー。
9P:Bab:右から廻りこんでジェードルへ。
人工で7mほど登って左のカンテに。
カンテの溝状の所をバランスを取りながら7mのぼりビレー。
10P:Gramps:カンテ溝状から左に廻りこみながらフェースに出る。
フェースを3m登って、再びカンテに出て3mでビレー点に。
ここでザックの天蓋を開けて行動食を取り出し食べ始める。
突然の突風でザックが半回転。その弾みで行動食が袋ごと落(らく!)。
幸いにも2m下の木の枝に引っかかり止った。
セカンドのBabさんに廻りこんでもらい回収してもらう。助かりました。
11P:Bab:三角形のハングの左を直上し、
ブッシュの中を右へ。
大岩を右から廻って直上するも、
ザイルの流れが悪く2m降りてビレー。
12P:Gra:大岩を3m登り、右に廻りこみ2m直上。
凹角に出くわしたが、
右側の不安定な草付きのリッジをやや左上気味に登る。
潅木でビレー。
13P:Bab:そのまま樹林帯の緩傾斜を進んで行くと、
大きな露岩に突き当たり、
回り込んでどこか登れそうな所を探すも、ザイルが重くなってしまい一旦ここでビレー。
実はここがこのルートの終了点であった。
記録:8P目6:30~終了10:37
Kotetu 、O橋パーティーを待って、
下降点の大凹角の頭に向かう。
頭で大休止をして、懸垂6回で左稜のコルに到着。
大町の宿には12:00着。
明日は残念ながら天気は悪くなりそうだ。
16:00頃、I東(ぽっぽ)・S畠(OWCC)が大凹角を終了してご帰還。
彼等は我われと違って重量化に徹しているようだ。
一杯の食糧とアルコールの量。
今晩は我われ2パーティー6人のみのため、他を気にせずに大いに宴会を楽しむ。
それにしても岩壁ビバーグの後の、
平地で寝ることはなんと素晴らしいことか!全員熟睡。
9月22日:
雨模様の為、下山に決定。
帰路は恒例になっている高瀬館の露天風呂で泳いだあと、ビールで乾杯。
車中の人となる。
今回は22日にもう1本登る予定であったが、
天候悪く断念。しかし畠山ルートを完登でき満足でした。
以上。
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