大阪ぽっぽ会 会員・ Grampsの山行

岩登り、縦走を中心に春夏秋冬楽しんでいます。

甲斐駒ケ岳 赤石沢Aフランケ、奥壁

期間:1997.8.10~8.15  
参加者:NanohaBab、O橋、Gramps

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今夏は楽しみにしていたヨセミテへ行けなくなり、以前行って楽しかった甲斐駒ケ岳に出かけました。

当初Yu良君も参加予定でしたが体調を崩した為不参加となる。
このルートは2人ワンパーティーで登るのが理想の登攀形態であるが、5月よりこのために練習を積んできたのであり、3人パーティーでも多少の困難や時間を要しても工夫して、計画通り実行することにした。

8月10日(日)~11日(月):
大阪21:03発、Yu良君の見送りで急行「ちくま」にて塩尻に。
飯田線始発に間に合うべく、塩尻から予約しておいたタクシーに乗り辰野に。

眠いので30分でも眠ろうとするのであるがタクシーの運転手「山手に30分行ったところに美味しい蕎麦処がある」「人工衛星が3つ見えると」か「日本の臍(中心)の三角点がある」とか次から次へと説明してくれるので結局、眠れずじまいに終わる。

辰野からは東京方面から十数名の登山者、関西からは我われのみのようだ。

伊那北からは戸台口まではJRバス、戸台からは長谷村営バスにて北沢峠に(7:30)。
長衛小屋前で朝食を済ませ出発。

今日は甲斐駒黒戸尾根の8合目まで。
昨日は一時雨が降ったとかで、女子大ワンゲル部の靴は泥だらけであった。

仙水小屋、仙水峠、そして駒津峰への急登で2回休憩をして、駒津峰には11:20着(2750m)。

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霧一時晴れの天気で甲斐駒も今ひとつすっきりしない。
背中の重みを感じながら、甲斐駒頂上には13:15分到着。

頂上の一番高い所に登って記念写真を1枚。
この頂上にはもう何回訪れたかな?来るたびに感激が違うのは不思議だ。

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今回のベースになる八合目岩小舎地点には14:50分到着。
早速、奥壁ルート偵察を兼ねて、全員で水汲みに出かける。

16:30分テント設営完了。富士山がくっきり綺麗に見える。
八ヶ岳も北アルプスも、雲海の上に浮かんで見える。いつ見ても感激してしまうこの景色。

来なければ感じられない一瞬である。夕食後舞台のような岩の上に寝転んで星を見ていたら、真上から真下に向かって流れ星が落ちてきた。
2回もである。辺りは寒いくらいである。テントに入り19:30就寝。

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戸台口6:25→北沢峠7:30:長衛小屋8:17~仙水小屋8:45,9:00~仙水峠9:32,9:47~休憩10:17,10:24~休憩10:55,11:00~駒津峰11:20,11:35~休憩12:05,12:15~休憩12:47,12:52~甲斐駒山頂13:15,13:30~八合目14:48~水場15:10~八合目テン場16:15テント設営完了16:30、就寝19:30

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真ん中は昨年末入会した新人O橋さん

8月12日(火):
3時起床。今日登るルートは、Aフランケ赤蜘蛛ルート。取り付きまでのルートファインディングが難しいのと厳しいので、明るくなるのを待って4:50分出発。

今回の取り付きへの道は、前回迷ったところはクリアーできたが、下部の方でルートを見失って相当手前より八丈沢に入り込んでしまい苦戦。
それでも何とか取り付き点に辿り着けホッとする(6:47)。7時30分登攀開始

1P目:Gra:このピッチはA1のアブミの掛け替え。出だしの一歩と最後のテラスへの乗っ越しがしんどい。ピンは比較的遠いが、苦しくはない(25m)。

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1ピッチ目の取り付き

2P目:Gr:このルート中フリーで登れる一番楽しいピッチである。
前回はレイバックを多用して疲れたので、今回はそんなに使わずに登る。
40m一杯フリーで登ると、「登った」という実感が湧く。

テラスが小さく3人は無理なので少し下の小テラスでO橋さんに待ってもらい3P目に進む。

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2ピッチ目の登攀

3P目:Gr:ここからハングの下までA1のアブミ。3人ともアブミビレー(20m)。

4P目:Gr:ハングを右から乗っ越し、続いて前傾壁(2mくらい)をアブミで。
前傾壁の乗っ越し地点でハーケンがあるのを見落とし少し右よりフリーで乗り越す。

その後はⅢ~Ⅳ級のところを右上して大テラスに。
50mザイル使用のため、トポでは20m、20mの2ピッチ(注)になっているがザイルもそんなに重くなかったので1ピッチで消化する。

ここで初めて腰をおろしてビレーが出来た。(注:日本登山体系による。日本の岩場では45m1ピッチとなっていた)

5P目:Gr:凹角を3m登って左へトラバース。ハングの左端より5m程フリーで登ってビレー。

6P目:Gr:このピッチは大フェースに1本のクラックが真っ直ぐに80m程伸びていて、すっきりしたすばらしいピッチである。

クラックには手製のアルミハーケンが打ち込まれている。
今回は途中15m程手製のチョック等が脱落しておりナッツ2ケ、フレンズ1ケ、残置フレンズ1ケを使ってのアブミ登攀となり、ヨセミテに出かけている仲間を思わず思い出してしまった。

まさにヨセミテのビッグウォールをアメリカンエイドで登っている気分に浸り、自己陶酔。
下を見れば高度感抜群。

しかし登るスピードが遅いので下で確保している人はイライラしているであろうなあと思いつつも、気分はルンルンである。40mで確保。

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6ピッチ目の登攀

垂壁で棚がない為、アブミビレー。
Babさん、O橋さんの順で登って来てもらい、O橋さんにクリーニングをお願い。

このピッチ、ピンの距離が遠いので結構しんどい。三人パーティーの為このようなアブミビレーの所ではピッチのつなぎ目が難しい。

Babさんにビレー点まで先に来てもらい、隣でアブミビレーをしてもらう。
O橋さんは、またまた3m下で自己確保の体制を作ってもらい、次のピッチをBabさんにトップで行ってもらうように工作する。

7P目:1.5m右へアブミトラバースをして、直上してカンテを廻りこんで更に直上。

枯れ木の上のピンが遠い。Babさんの身長でよく届いたものだと感心。
さらに3m伸ばして少し右にフリーでまわりこむ。テラスへの廻り込む所がいやらしい。

8P目:テラス左から右上して、再びアブミにて5m。大木にてビレー。

9P目:Gr:小岩壁と潅木帯を45m。(一時雨、すぐに止む)

10P目:Gr:同上40m。Aフランケの頭である岩小舎に到着(17:20)

なんと10時間の登攀。3人でこの時間では良くやったかな?(誰がなんと言おうとも)楽しかった。
本当に完登で来た満足感で一杯である。

ここから8合目のベースまでは20分。どこでどう道間違えたのか、再び八丈沢へ迷い込んでしまった。
登り返して18:55分やっとテン場に帰還できた。

みんな疲れていたが満足、まんぞく。22:30就寝

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登攀を終わって

今日のAフランケは我われのほかに(昨日から「極楽トンボ」の下部で一日中仕事をしていたワンパーティーのみ)いなかった。

テン場に帰ったら神奈川岳連の1パーティーが幕営していた。彼等は明日Aフランケ赤蜘蛛ルートを初めて登るということで情報を提供する。

因みに彼等も終了後のルートファインディング失敗で20:00頃帰幕。

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登攀を終わって

Aフランケ登攀については
1)取り付きまでのルートファインディング、
2)終了後のルートファインディング(人が余り入っていないと踏み跡が不明瞭なため)が大切な要素になる。
(3)人工部分のピンが脱落しているのでナッツ、フレンズは必携。

起床3:00出発4:50~取り付き6:47登攀開始7:30~1P終了8:20~2P終了9:30~3P終了10:20~大テラス着11:05~Aフランケの頭17:20~テン場18:55、就寝22:30

8月13日(水):
計画では、今日はBフランケを登る予定であったが、昨日の疲れを回復する為に、休養日とする。
(ガッツ、ガッツ登るのが能じゃないと言い訳)6:15分起床、のんびりと朝食を取りながら、昨日のクライミングに話の花が咲く。

10:36分黒戸尾根の七丈小屋まで、水汲みを兼ねてハイキング。
七丈小屋11:15着。展望台にて昼食。

山中のまさに真っ只中にいるのは3人だけ。ゆったりした気持になれる。
もうここは秋の気配すら感じられる。

トンボが群れて飛んでいる。山に来てよかったと感ずる一瞬である。
この一瞬のために山に登っているのでしょうか。

フリークライミングも好きだが、フリークライミングでは味わえない、この一瞬がなんともいえない。
テン場に帰ってからは、テントの周りの溝つくり、近くの岩でハーケン、ボルトの打ち抜き練習、ティータイムと一日のんびり出来た。

起床6:15出発10:36~七丈小屋11:15,11:55~テン場1:35~ティータイム15:00、夕食16:30、
就寝19:00


8月14日(木):
今日の予定は奥壁中央稜左ルート。
取り付きまでの踏み跡は露で濡れておる。取り付き点で水を補給。

まだ暗いので、明るくなるのを待つ。ブヨ(ブト)の大群に襲われる。

カッパのフードを被っても効果なし。始めは耳の後ろから刺され始める。
慌ててタオルを被る。今度は少し出ている額めがけて襲ってくる。

もうどうしょうもない。かまれ放題の状態である。少し明るくなってきたので登りはじめる。

1P目:Gramps:凹角状のところをアブミで登る。何故こんなに、たくさんピンがあるのか理解しにくいほどある。

少し左上気味に登って、ハング気味のところを乗っ越してフェースに出る。
3人の為、ビレー点に気を遣いながら登る。少し短か過ぎたが、適当なスタンスのあるビレー点があったのでここで切る(25m位)

2P目:Gr:再び人工で、ピン間隔は短く単にアブミの掛け替え(30m)。
適当なスタンスが見当らない為、O橋さんに先に来てもらい、アブミビレー。

Babさんは右下3mの地点で待機してもらう。

3P目:Gr:このピッチもやはりアブミの掛け替え。ガスっており、何も見えなくなり、只ただ、上へ上へと30m。

4P目:Gr:直上をフリーでトライ。
3m登って少し右に移動すべく草つきスタンスに乗り、上にあがろうとした瞬間、足が沈み始める。

足元が崩落したのだ。約20cm四方ほど抜け落ちる。
その時きっと大きな声を出したのでしょう。

真下で確保してくれていたBabさんを塊が直撃。
「Grampsさんのお尻が私のヘルメットを直撃した」と思ったそうだ。

私は50cmほど落ちて、ロープを掴んでいた。
直登は諦めて、大きく左に巻いて(ここもいやらしかった)第二バンドへ。

このバンドは、奥壁特有のガラガラ。一歩、歩くたびに落石を誘発する(20m)。

5P目:Gr:ここからは、またまた単調なアブミの掛け替え。
40mでテラスに到着。テラスへの乗っ越しが微妙なバランスを要した。
このテラスもガラクタの堆積。動くとすぐに落石を誘発する。

6P目:Gr:このピッチ振り子してハングの切れ目より抜けるとある。テラスから見ると抜け出せそうな所が分からない。とにかくトラバースして偵察をしてみる。

細い左上クラックをノーピンで12~3m。
スリップしたら、15mは振られながら落ちる。

ビビリ!だが、その辺りからは更に直上できそうなハングの切れ目が見当らない。

更にハング端まで進んで魚の鱗みたいな壁を剥がさないように4m程登ってみる。
最後の一息というところに、フレンズをかまし、上を偵察。

ここを登れたとしても余りにも長くトラバースし過ぎている為、フォローが上手くできるか心配になる。
「今回は完登は諦めよう」とBabさん、O橋さんに問うと、即座に「そうしましょう」なんて返事が返ってきた。

残念ながら、諦めてビレー点のテラスへ戻る。

とO橋さん「Grampsさん、死んじゃうんじゃないか」と半分泣き声。
「まぁ、いいや、今回は引き返そう」と思って懸垂下降の準備をしようと思ったが、やはり、やりきれない気持。

「そうだ、左がだめなら右がある」「今回は新ルート開拓で行こう。
ここから右上すれば、中央稜ルートに合流できるはずだ」。

「岩壁とブッシュ帯だ。何とかなる」「時間は?」「11時」「よし!行ける」。

しかし、それは甘かった。垂直のブッシュ帯、泥の凹角、乗る草付きスタンスは、いつでも落ちそうな状態。
潅木が出てくるとランニングビレーを取りホッとする。

また5m程同じ状態で潅木にランニングビレーを取る。
同じ状態を繰り返し繰り返しの登攀?冬ならば「神の手の」のピッケル、バイルがあるが、この草つきもピックの短いハンマーでは全然、効かない。

1時間の死闘?でやっと45m。やっとセカンドをビレーできる大木に出くわす。

登っている最中に先ほどのO橋さんの言葉「Grampsさん、死んじゃうじゃない?」が脳裏を何度も掠める。

7P目:Gr:再度同じような登りを繰り返して、やっと傾斜のゆるい所に出られた(45m)。

8P目:Gr:もう中央稜の上部に合流したようだ(40m)。

ザイルをしまって踏み跡をたどる。
約200m。最後に20m程の岩壁。ザイルを出して赤岩ピークへ。

やっと縦走路に出られた(16:00)。冷や冷やの登攀も終わってみれば感激も一入。
「やりました!」という感じである。3人で握手。水を飲む。

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テン場に帰ったらテントが5張りに増えていた。
全て関東の人たちばかりであった。夕方から雨が降り出した。

出発4:00~登攀開始5:20~赤岩ピーク=縦走路16:00、16:30~テン場17:07

8月15日(金):今日は帰阪の日。雨。
昨日から入山したパーティーは無念ながら停滞か?各テントは静である。

楽しい日々が過ぎるのは速いもの。
山に入って今日はもう5日目。その山とも今日でお別れ。

雨の中、今回の山行を思い出しながら甲斐駒岳を登り返す。駒津峰辺りでガスも一瞬消え、今回登った甲斐駒が全容を見せてくれる。

われわれに See you again!と言ってくれているようだ。
遠くの山々も、ガスの切れ間からその峰を見せてくれている。素晴らしい眺めだ。

この頃から甲斐駒岳山頂を目指して登って来る人たちに出会い始める。
「もう登って来たの?早いね」「いえ、昨日から・・・」と会話を交わしながら、いつしか北沢峠に。デポしていた着替えも無事ありました。

塩尻で風呂に入いり、3人とも200%の満足で車中の人となる。

起床3:00、出発3:50~赤岩ピーク4:30~甲斐駒山頂5:00~仙水峠7:30~北沢峠8:30、10:00→伊奈11:09→塩尻16:17⇒
雑感:

1) 3人パーティーの為(テラスがないところが多い)、所要時間を多めに見て出発時間を早め、精神的余裕を持つようにした。
2) 2日目はBフランケ登攀を計画していたが、パーティーの疲労度から無理をせずに休養日にした。
3) 奥壁は左ルンゼルート程でもなかったが、風化が激しい。
4) 全員の山行前練習量の結果が、楽しい思い出の山行に繋がったと思う。
5) ヨーロッパ山行に向けて、今一層のトレーニングの必要を感じています。
6) この山行以後ハンマーの代わりに夏山でもバイルを携行するようにしました。

以上
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